調査実例
※ 下記の事例は、当事者(依頼者)からの許可を得て、 細部を編集した後に掲載しております。
事例 1 『女の子が家出したが、風俗店で働いていた』
依頼者:家出した娘の母親
対象者(娘)の交友関係などを中心に、聞き込み調査を開始した。
しかし意外なことに、聞き込み調査中に依頼者から連絡があり、対象者が帰宅してきたと知らされた。この段階で依頼内容は少し変更され、今度は「対象者が再び家出するところを尾行する」という段取りになった。依頼者によれば、娘が家出する前日になれば明らかな兆候(恐らくは手荷物などか?)が見られるので、すぐに分かるということだった。当社としては、それを信じて指定の期日に張り込みするだけである。
依頼者が調査日を指定してきたのは、それから数日後だった。午前中から張り込んでいた調査員が、自宅から出てくる対象者を目にしたのは午後の4時近く。依頼者の観察力には恐れ入った。さっそく尾行に取り掛かると、対象者は自宅近辺で紺色の乗用車に乗り込んだ。かなり入り組んだ道を走らされたが、特に尾行を警戒されている様子もなく、バイクで尾行に成功。運転席から出てきた若い男性と同時に、助手席から降りてきたのは間違いなく対象者本人だった。2人は市内にあるオートロックマンションに入っていった。
依頼者に確認の連絡を入れたところ、「張り込み続行」との指示が出たため、徹夜も辞さない覚悟で張り込みを続けた。そして対象者が出てきたのは、意外と早く午後7時過ぎ。この時は、先ほどの若い男性の他に、10代後半と思われる若い女性も一緒だった。何となく嫌な予感をおぼえつつも、また同じ乗用車を尾行することになった。尾行の末、対象者を含む2名が風俗街にあるセクシーキャバクラに入ったのを見届けた。どう考えても女子高生が客として入るはずのない店、である。
男性はすぐに走り去ったが、こちらは追尾で帰宅を確認した。
調査員は再び依頼者と連絡を取り、店に入って最終の確認をすることとなった。
尾行担当の調査員は建物近くに残しつつ、店内にスーツ姿の調査員を「客」として入らせる。これが風俗調査の基本パターンである。連絡方法などを調査員同士で打ち合わせた後、いよいよ調査員が入店。間違いなく対象者が店内で働いていることを確認し、源氏名の書かれた名刺と、対象者のPHSとは違う携帯電話番号も手に入れてきた。
ここまで調べて、調査員たちの長い一日が終わった。さっそく翌日、男性の氏名や部屋番号の調査に取りかかった。
少しでも早く連れ戻したい思いはあったが、焦りは禁物。
対象者の今後も考えれば、あまり大きな騒ぎにもできない。ここは、当事者同士の話し合いに持ち込むことが無難と判断した。何も知らずマンションから出てくる対象者。その眼前に現れた両親。
‥‥場所を近くのファミリーレストランに移して、親子の長い話し合いが続いた。どうやら一緒に行動していた男は、交際相手というよりも、家出少女たちの世話役・監視役的な立場だったらしい(もちろん少なからず上前をハネていたらしいが)。
両親の涙ながらの説得に対し、対象者も「本当は、こんな生活やめたかった」と応えた。
これが仕事とはいえ、やはり依頼者から感謝された時には素直に嬉しかった。しかし同時に、この親子にとってはこれからが本当の正念場であるとも直感した。
一度は「プチ家出」から抜け出しても、何らかの拍子に再び家を出てしまうケースは決して少なくない。現在は娘(対象者)も高校に通い、家庭は平和を取り戻しているようだ。願わくば、娘が独り立ちするまでは「家を出る」ことがないように祈っている。
事例 2 『生き別れの肉親を探した』
依頼者:対象者の姉
しかし借金によるトラブルで一時的に家族と不仲になり、その後の消息が分からなくなっていたということである。今となっては対象者の生死すら不明という状態だが、その父親が病に倒れて先が長くないと宣告され、最期に一度だけでも逢わせてやりたいということで今回の依頼となった。
依頼者が家族自身なので、対象者の情報には事欠かなかった。初動調査は空振りに終わったが、他の調査では成果があった。消息が分からなくなってから、少なくとも2度ほど転居している事が判った。「本人かどうか確認してほしい」という依頼者の希望により、最後に転居されたと思われる住所地・四国にある一戸建ての借家を訪れることになった。
確かに、その借家は現在も建っていたものの、そこに住んでいたのは対象者ではなく若い子連れ夫婦。自分たちは2年前に引っ越してきたばかりで、前に住んでいた住人のことは、何も知らないという返事だった。
ここで諦める訳にもいかないので、「管理会社→大家さん」という順序で聞き込みを行ったところ、対象者の新たな転居先は分からなかったが、何とか対象者が当時働いていたという運送会社の名前を聞き出すことに成功。今度は、こちらを訪れて聞き込み調査である。そこで運よく、当時から対象者と親しかった管理職の方に話を聞くことができた。この男性によれば、対象者は当時から実直な性格で人当たりもよく、この男性とは今でも年賀状などをやりとりしている仲だという。
なぜか結婚はしていないらしいが、現在は知人と共同で立ち上げた事業に専念しているとも教えてくれた。すぐに対象者の連絡先を聞くことはできなかったが、父親の病気のことを告げると「いちおう本人に確認してみる」と言われたので調査員はしばらく現地で待機。翌日になって、「本人も家族に逢いたがっている」という待望の返事を得た。
ここまで進めば、ことさらドラマチックな再会シーンを用意する必要などない。依頼者と対象者は、長い時を経て再び顔を合わせることができた。対象者は自分の事業のこともあり、家族の元へ戻るという選択はしなかったが、今は頻繁に連絡を取り合い、一緒に過ごすことが多くなったという。「こんなことなら、もっと早く探せばよかった」と依頼者は語っていたが、失った時間はどうやっても戻ってはこない。せめて今後の幸せを願いたい。
‥‥現在、家出人として捜索願が警察に受理されているだけで、年間8万〜10万件以上。これに含まれない家出人・失踪人も膨大な数にのぼり、この分野における探偵の需要は非常に多い。中には悪徳業者に騙されてしまう依頼者もいるが、今回のような「細い糸をたどるような調査」で発見に至るケースだってある。警察・そして探偵。それぞれの長所と短所を踏まえた上で、これらを上手に利用してもらいたいものである。
事例 3 『インターネット交際者の嘘を暴いた』
依頼者:20代女性
インターネットの出会い系掲示板で知り合った男性と結婚の約束までしたが、子供ができた途端、その男性と連絡が取れなくなった、というのが最初の相談内容だった。対象者について依頼者(この時点では相談者)が知っている情報といえば、住所・氏名・生年月日・出身地・出身校・職業、電話番号、そしてメールアドレス。一見すると情報が多そうだが、有効な情報かと言われると、そうでもない事が多い。
「これだけ情報が分かっているのに、なぜ情報が限られるのか?と不思議に思われる人も多いだろう。しかし探偵は経験上、風俗店や出会い系サイトで知り合った異性は本当の氏名や住所を明かさない、という鉄則を知っているのだ。
このケースでも相手の男(対象者)は、自宅近くで待ち合わせする時に「あそこに見えるマンションが自宅」と言ったらしいが、あれこれと理由を付けて一度もマンションには入らせてくれなかったという。まさに典型的な嘘のパターンと思えた。‥‥その点を依頼者には充分に説明し、まずは調査によって、氏名と住所を割り出すことになった。せっかくの手掛かりを失っては面倒になるので、しばらく依頼者には相手に連絡を取らない、という点を納得してもらった。
数日後、地道な調査のおかげで、住所と名前がわかった。やはり依頼者に話していた氏名や住所とは、違う名前である(住所は比較的近くだったが)。この人物が100%対象者本人であるとは言い切れないものの、少なくとも深い繋がりのある人物であることは間違いないだろう。
依頼者から追加調査(単発の行動調査)依頼を受けて、平日の早朝から張り込み、当社が割り出したと思われる男性の映像を手に入れた。その顔をメールに添付して依頼者に送信した直後、まさにその依頼者から当社へ電話がかかってきた。『間違いありません。この男です』。
ここまで情報が明らかになれば、この先は、依頼者の選択に委ねられる。追加調査によって勤務先の嘘が発覚し、さらに同居家族(妻)がいることまで判明。ことごとく対象者の嘘が暴かれた。‥‥結局、裁判沙汰にはならなかったものの、対象者の妻に交際・妊娠の事実を突きつけることによって、この対象者は離婚という憂き目にあったようだ。さらに弁護士による示談が成立して自分の元妻と依頼者の両方へ慰謝料を支払うことにもなり、対象者にとっては自業自得とはいえ「踏んだり蹴ったり」といったところだろう。この後、相手の男(対象者)から依頼者へ「結婚して一緒に住もう」という申し出もあったらしいが、依頼者はそれを断って一人で子育てする道を選んだそうである。
個人が出会い系サイトなどで知り合った異性と、どんな付き合いをしようとも本来は探偵が口出しをすべき問題ではない。ただ、今回の対象者に限らず、何事に対しても責任を持てないというタイプの人間は、世の中に数え切れないほどいる。事前に判っていれば防げたはずの悲劇であれば、防ぐに越したことはない。そのために探偵という仕事が役に立てるのであれば、これほど嬉しいことはないと思う。